みなさんは主に銀行預金という形で、お金を管理します。
しかしこの銀行預金にもリスクがあり、厳密には元金保証ではありません。
- 債券の運用失敗で銀行が倒産したらお金はすぐには返ってこない
- 円安やインフレの際には打撃を受ける
銀行が倒産したらお金はすぐには返ってこない
みなさんが銀行にあずけたお金というのは、普通預金・定期預金に関わらず、実は銀行によってどこかに投資され、資産運用で使われます。
この資産運用の成果は、みなさんが銀行預金で利息としてもらえる、なけなしの年利0.02%(普通預金の場合)の利子にも反映されています。
主には元金割れの可能性がまったくない債券で運用されますが、資産運用である以上、当然リスクがまったくないわけではありません。
実際資産運用に失敗して、つぶれてしまった銀行というのも山ほどあります。
(代表的な経営破綻銀行としては北海道拓殖銀行など)
現在はペイオフ制度というものがあり、銀行が倒産した場合、あずけいれたうちのお金の1000万円までなら保証される、という決まりがあります。
しかしこれはあくまで保証というだけであって、すぐに返される、ということではありません。
仮払いは60万円までであり、残りのお金についてはいつ返されるのか、はっきりとしません。
なお2010年9月10日、日本振興銀行が経営破綻した際、ペイオフがはじめて実行されています。
口座にあずけたお金が不安定になる銀行破綻は、意外にもみなさんの近くにひそんでいます。
ゆうちょ銀行や三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行など、いわゆるメガバンクと呼ばれる大手銀行ですら、油断はしないほうが賢明です。
かつてつぶれた北海道拓殖銀行もまた、いわゆる大手銀行のひとつでした。
自分がお金をあずけている銀行の運用状態・経営状態は、よく見ておきましょう。
なおペイオフ制度は、同系列でない金融機関にお金をあずけておくことでも活用できます。
たとえばゆうちょ銀行に別の銀行口座を作り、ゆうちょのA口座に1000万円、ゆうちょのB口座に1000万円あずける、という形だと、結局は同じ系列なので、保証される金額は1000万円までです。
しかし三菱東京UFJ銀行に1000万円、ゆうちょ銀行に1000万円という形にしてやれば、2000万円全額の保証となります。
仮払いも最大120万円です。
資産がたくさんある人は、こうして別系列の銀行口座をたくさん作って預金することで、リスクを大きくへらせます。
死蔵は円安・インフレのときに危険
2010年代現在の日本は円高・デフレと言われており、国内の通貨価値が非常に高い状態が続いています。
そして銀行預金の金利は非常に低く、お金を数十年あずけても、大きな利子は期待できません。
この状態のまま円安・インフレで日本円の価値が安くなったりすると、思わぬ損をこうむる可能性があります。
お金というのは絶対的な資産ではなく、相対的な資産です。
たとえば今日100円で買えていた林檎が、数年後には200円(日本円の価値がさがる)で売られたり、あるいは50円(日本円の価値があがる)で売られたりします。
かつては日本でも銭(せん)という単位のお金が使われていました。
100銭は現在の1円に相当し、現在でも投資などで為替手数料の表示に「1円55銭」などという形で表記されます。
しかし現在では、銭が日常で使われることはありません。
これは、通貨価値がどんどん変わっていくことで、円のほうが使われるようになり、銭にまったく価値がなくなってしまったためです。
インフレや円安によって、銭と同じことが、今の円にも起きる可能性は、十分にあります。
極端な話が、苦労してようやくたまる今の100万円も、近い将来には、1日働くだけで簡単に稼げる100万円になっているかもしれません。
このような円安・インフレ時代になったときに、しっかり職業を持っていればまだマシです。
円に価値がなくなり1日100万円を簡単に稼げるような時代になっても、職をもっていれば、やはり時代に順応したお金(1日100万円)を稼ぐことができ、時代についていくことができるからです。
しかしすでに老後で退職しているときに、円安・インフレの波がやってきた場合は、どうでしょうか?
銀行口座に貯蓄していたお金が一気に無駄になるどころか、もうすでにまともに働けないので時代の通貨価値についていくこともできず、生活すらままならなくなってしまいます。
お金もつきつめていけばモノですので、その価値はどんどん変わっていくわけです。
そのお金を、元金保証にこだわって銀行口座に死蔵したままの状態にしておくと、経済から孤立したお金となります。
「お金を停止した状態にする」というのも、一種のリスクとなるわけです。
これは銀行口座にお金を死蔵せず、そのお金で株式の分散投資などをしておくことで、対策できるデメリットです。
デフレーションの状態では、とにかくお金をどんどん回していく(お金を働かす)ことが重要です。
よく「お金を使うことで経済を潤す」と言いますが、もちろん経済を潤わすことと、浪費をすることはまた別問題です。
銀行口座に10年以上死蔵する予定のお金が100万円以上ある、しかし浪費はしたくない。
そんな人には、投資がオススメになってくるのです。
特にお年寄りの人達の死蔵は危険です。
お年寄りの多くは高度経済成長期の円安で、普通銀行口座の預金だけで、年利7%という高金利の恩恵をうけており、お金がたまっています。
この大量のお金が停止状態になっていると、本当に世間にお金がまわりませんので、それがなおさらデフレに拍車をかけるのです。
私から言わせれば、銀行口座にすべてのお金をあずけても日本国債のダシにされるだけで、世間の役にたつことはありません。
一方証券口座で株を買えば、その死蔵しているお金を働かせ、経済を潤わすことに協力できます。
そして自分の資産を増やすこともできます。
国が銀行に低金利を課すのも、もっとお金を口座の外にだしてほしいからです。
自分のためにも世間のためにも国のためにも、特にお年寄りの皆さんには投資をオススメしたい所です。
銀行預金のリスクまとめ
経営破綻リスクと円安インフレリスク。
以上の2点より、銀行預金で資産を完全に管理するのは、危険であることが理解できます。
デフレ先進国となったこれからの日本では、資産がたくさんある人は、複数の銀行口座、証券口座を用意して、資産を分散させておくことが重要です。
銀行預金も投資の一種であり、投資対象は非常に効率の悪い日本債券ばかりであるということを、いま一度確認しておきましょう。
また、銀行はつねにつぶれる可能性があることも考慮にいれます。
銀行預金は投資で、しかも厳密には元金保証ではない。
そして現在の日本では、元金割れよりも通貨価値がさがることのほうが脅威とすら言える状況。
それならもはや、ちゃんとした効率のいい投資プランを自分で設計し、リスクをおさえながら利回りを改善したほうが、良いと思いませんか?
自分の手で資産運用をしていたほうが、100%銀行預金より安心できる側面があることも、事実なのです。
そういう意味でも、証券口座に資産を移すことを考えるべきです。
投資用の口座は「証券口座」と言います。
こちらにお金をあずけておくと、自動的にMRF(債券の一種)で運用して、銀行口座よりも利回りがよくなります。
投資をしない場合でも、お金の避難先として証券口座を複数作っておくのは非常に有意義です。
証券口座でもペイオフ制度による預金保護は適応されるので、銀行口座と同じくらいの口座数をひらいておくのがオススメです。
また証券口座のお金は、銀行口座のお金と同じように、即時入出金が可能なものもあります。(SBI証券など)
銀行口座ではすぐにだしいれする予定の、停止したお金を管理する。
そして証券口座では、働きにいかせるお金を管理する。
このように複数の銀行・証券口座をうまく使うことが、今後、先進国に住んでいる人たちの、賢いお金の管理の仕方になっていきます。