ユダヤ人が子どもに教えるお金の哲学
ユダヤ人は、歴史から多くを学びます。中でもお金に関することは、とても大事なことですので、親から子どもに口づてで丁寧に伝えてきています。格言はそのユダヤ人の考え方のエッセンスが凝縮されていますので、集めてみました。
金銭は機会を提供する
金銭が与えるチャンスは無限です。
本人が望む望まざるに関わらず、金銭は様々な思惑を呼び込みます。それは、自分の思惑だけではなく、あなたの周りの人にまで変化を与えます。ある哲学者は言います。「金銭は物質的なものではなく、ある種、思想的なエネルギーである」。金銭というのは所有できるものではなく、そのエネルギーをうまく使うことで、持ち主を幸福にします。
しかし、そのエネルギーを間違って使うと、持ち主を不幸にしてしまいます。
金銭は無慈悲な主人だが、有能な召使にもなる。
誰にとっても、「お金のために働く」というのを人生の目的にはしたくないですね。だから、お金を自分のために働かせるという考えがユダヤ人にはあります。有名な「金持ち父さん、貧乏父さん」や「ユダヤ人大富豪の教え」などの書籍で取り上げられた考え方ですね。
聞こえのいい例だと、不動産を買って、その賃料収入で不労所得を得るというのもありますが、シェイクスピアの「ベニスの商人」のシャイロックのように高利貸しになるのも、この考えの実践例です。
金は、良い人には良い物をもたらし、悪い人には悪いものをもたらす。
お金はエネルギーである。
お金は使い方ひとつで、良い方向にも悪い方向にもいくでしょう。良い結果というのは良いマインドからしか生まれないという言葉もあります。
どちらかと言えば、金を稼ぐのはたやすい。使い方が難しいのだ。
「金儲けなんて簡単さ」なんて言ってみたいものですが(笑)、ユダヤ人にとって金儲けが簡単というのは、彼らが価格と価値の違いを見極める目を持っていることと、長いスパンで物事を見るのに長けている民族だからでしょう。
歴史の波に翻弄されてきた彼らは、たとえ困難にぶつかっても、それが永遠に続くわけではないことを本能的にわかっています。
たとえば、値下がりがずっと続く相場があったとしても、底値で買える強い胆力、そして割高で天井だと見切って売れる高い分析力。その2つがあれば、確かに金儲けは難しくないのかもしれません。ユダヤ人が歴史をよく勉強するのは、洞察力と鑑識眼を鍛えるためです。危機の時、人はどう動くか、その最高の教材が歴史だという考え方です。
お金はどのような扉でも開ける。黄金の鍵。
ハンガリー系ユダヤ人で有名なジョージ・ソロスの父は、ハンガリーで弁護士をしていたが、ナチスが侵攻してくる直前に全財産を処分し、金を作り、偽造身分証明書を作り、隠れ家を用意し、家族を含め大勢のユダヤ人を救った。政府の役人にいくばくかのお金を渡して、政府側の役人になりすますという芸当まで行ったのだった。危機の時、家族を守ってくれたのは法律ではなく少しのお金と研ぎすまされた機転だった。
歴史上もっとも稼いだといわれる投資家であるジョージ・ソロスは、少年時代を両親とともに激動のハンガリーで過ごしている。彼の独特の投資哲学は、この少年時代に培われました。ソロスは、 インタビューで、最も尊敬している人を両親と答えています。
お金を愛するだけでは、お金持ちになれない。
お金持ちになるには、「明日できることを今日やり、いま食べれる物を明日にとっておくこと」とも言われます。つまり、仕事を先にやり、楽しみを後回しにするということです。お金持ちになるには、仕事を愛し、誠実に仕事をする勤勉さも求められます。
お金で、常識以外のすべてのものが買える。
これは、金で何でも買えると思うな、という傲慢さを戒める格言でもあります。つまり、確かにお金で何でも買えますが、そういう考えを批判する常識的な考え方は変えることができない、という意味合いでもあります。
しかし、近年になって、この格言にもうひとつの意味が出てきました。
お金持ちというのはとかく変人が多いもの。そういう変人の金持ちを見て揶揄するような意味合いで使うこともあるようです。
お金を借りる時笑うな。もし笑えば返す時泣くだろう。
なかなか難解な格言ですが、借りる、貸すはお金の持ち主が変わっただけで、結局の所、それくらいのことで一喜一憂するな、というところが、金貸しを天職にしていたユダヤ人ならではの格言です。
そりゃあ、ユダヤ人と仲が良くないわけですね。