根底にある土台を壊しては真のお金持ちにはなれない。
私の両親は常に徹底的な節約を心がけています。
特に母は、お金に関してはうるさい人で、少しでも出費が削れるところは削り、大切なお金が逃げないようにしています。
少しでも安いところはないのかとちらしを見比べたり、時には水口家の畑にある野菜で済ませたりしています。
しかし、こんな母には、不思議な瞬間があります。
いつもは節約家の母が、急にお金をどんと使うときがあるのです。
家族旅行や誕生日、記念日といった「家族行事」に関することです。
小さいころの私は、節約家の母がこうした家族行事に限ってはお金を大胆に使う光景を、不思議に思っていました。
「いつもはお金にうるさいのに、なぜ家族にだけはお金をかけるのかな」と不思議に思っていたわけです。
しかし、私が大人になるにつれて、母がそうして上手にお金を使っていることにだんだん気づいてきました。
母は、家族旅行や誕生日、記念日だけは、羽振りがよくなります。
今まで節約ばかりしていた母が、家族行事にだけはお金を惜しまないのです。
「いつも節約をしているのに、これでは意味がない」と思いましたが、見方を変えれば母は何を大切にしているのかうかがえます。
母は家族関係をなにより大切にし、幸せの土台は家庭にあると考えていたのです。
いくらお金があっても家庭が崩壊しては、意味がありません。
ただお金を貯めるのではなく、幸せになるために家庭を大切にし、そのためにお金を上手に使っていました。
それが母にとっての哲学であり、貴いものです。
父も同じようなことを考えています。
父も同じくして家族旅行にはお金を大胆に使い、家族ができるだけ楽しめるお金の使い方をしています。
いつもは節約で質素な生活をしている父と母は、家族旅行でお金を使い、そのおかげでさらにその夫婦関係を向上させていました。
お金を家族や夫婦関係向上ために使い、そのために普段は節約をしているのです。
だから幸せであり、お金持ちになれたのです。