近年、格差問題がクローズアップされる機会が増えてきました。全世界では1%の超富裕層が、富の半分を保有しているという推計もあるようですが、日本の富裕層はどのような人たちで、どのくらいお金を持っているのでしょうか。
富裕層は単なる高給取りではない。その定義とは?
富裕層と超富裕層が持つ金融資産は241兆円となっていますが、国民全体の純金融資産は約1300兆円(調査が行われた2013年当時)ですので、富裕層は全体の富の2割弱を持っている計算になります。これを格差が大きいと見るか、小さいと見るかは人それぞれでしょう。ちなみにボストンコンサルティンググループの調査によると、資産1億ドル(約107億円)以上を持つ超富裕層のランキングでは、日本は圏外となっており、いわゆる超リッチと呼ばれる人は日本にはわずかしかいないようです。
富裕層と呼ばれる人たちの職業は?
では富裕層と呼ばれる人たちはどのような職業なのでしょうか。ソフトバンクの孫正義氏やユニクロの柳井正氏のように大企業の創業者というのは非常に分かりやすい存在ですが、こうした人たちは全体のごく一部です。資産額が1億円から5億円の一般的な富裕層の人はなかなかイメージが湧きません。
現在ではプライバシーの問題から公表されなくなりましたが、以前は国税庁が高額納税者公示制度に基づき高額納税者の名簿を公開していました(いわゆる長者番付)。これは納税額を示したものであり、年収が高い人と土地などを売却した人が混在しているデータですが、おおよその状況は把握できます。経済学者の橘木俊昭氏らが長者番付掲載者の属性を丹念に調査した結果では、実業家が約33%、大企業の経営者が15%、医師が23.4%、その他が27%でした。その他の多くは、不動産の売却と考えられますので、ここには一般サラリーマンも入っている可能性があるでしょう。
日本の富裕層は欧米に比べて、土地への依存度が高いといわれます。例えば、親から東京郊外の一戸建てを相続し、夫婦が大企業の社員だった場合、地味に生活をすれば、定年になる頃には1億円以上の資産を持つことは十分に可能です。日本の場合、こうした地味なプチ富裕層が多いと推察されます。
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